昔(戦前)は、日本酒と言えば純米酒と決まっていた。なぜなら、アル添酒の技術は、戦時中に考えられた技術だからだ。 満州に日本軍が進軍したとき、日本酒を本土から送ったが寒さで日本酒が凍って瓶が割れてしまった。酒が凍らない様 にするためには醸造用アルコールを加えアルコール度数を高くして凍るのを防いだ。ただこれでは辛くて飲めないので、 醸造用糖類やグルタミン酸などを加え、味を加工して出荷された。これが現在の普通酒(三倍増酒;この方法だと純米酒 1から3倍の普通酒ができるから)のルーツとなっている。その後も、戦中・戦後の米不足の時代背景もあって、三倍増酒 などのアル添酒(アルコール添加酒の略)が普通に流通し、その後もアル添酒の方が酒メーカーも儲かるし、多少酒の造りが 悪くてもアルコール添加をすることにより酒の旨味が引き出され、旨くない純米酒も旨いアル添酒に化けることができたり、 重たい口当たりが、アル添によりキレのある酒に生まれ変ったりするので、米あまりの現在でも日本酒と言えばアル添酒が 通になってしまっている。そのため純米酒は、現在でも全日本酒製造量の20%位にしかならないとさえ言われています。
戦後初めて純米酒を復活させたのは、京都の「玉の光酒造」であるとされています。また、戦後初めて製造する酒をす べて純米酒に切り替えたのは、埼玉県蓮田市の「神亀酒造」の小川原氏である。当時、酒造業界では、オール純米(純米 酒しか造らないこと)にするなどとんでもないことだといわれていた時代ですから、「神亀の小川原は気が狂った」と言われ たくらいです。これだけ純米酒が酒造業界の中で周知されてきた現在でも、オール純米に蔵は、神亀酒造(埼玉県)、富 久錦(兵庫県)、福光屋(石川県)、森喜酒造(三重県)、秋鹿酒造(大阪府)・・・など十数社、全体のわずか1%にすぎま せん。
しかし、これだけ冷遇されてきた純米酒ですが、風向きが変ってきました。灘の大手メーカーでさえ、偽物ではあります が純米酒を造りテレビ宣伝さえする様になって来ました。この背景には法律の影が見えてきたからです。法律上、清酒の 定義は「原材料は米とみず・・・」と書かれているにもかかわらず、大手メーカーの酒には、原材料「米、米麹、醸造用アルコ ール、醸造用糖類」とかれています。すなわち醸造用アルコール、醸造用糖類は添加物ではなく、原材料であると言うことは清 酒の定義に反していることではないでしょうか?実際アメリカでは、純米酒は醸造酒であるが、アル添酒は、蒸留酒の部類 分類され醸造酒の三倍の酒税が課税されています。日本でも法律改正が検討され、酒税法上、アル添酒や醸造用糖類を 添加した酒を「清酒」、米と米麹、水から造った酒を「日本酒」と分類しようされています。これに伴い大手メーカーも偽物で はあるが、純米酒を造り始めているのです。これからは、日本酒と言えば純米酒が当たり前の時代がすぐそこまで来てい ます。だからこそ本物の純米酒を蔵元が造り、我々酒販店がその事を消費者に間違いの無い知識と伴に純米酒をらなけ ればいけません。皆さん日本酒愛好者の方々も本当の純米酒を飲んで、蔵元にその感想意見を我々の行っている日本 酒の会などに参加して、蔵元に直接伝えることによりもっと旨い純米酒を造ってもらおう。
2005年2月 酒屋はやし 店主![]()